ニュースを見れば新型コロナウイルスだ、新型肺炎だ、世間を騒がせているコロナウイルス。前回の記事でもコロナウイルスはアルコールで除菌ができるとお伝えしました。
併せて読みたい!
今回は、そのアルコール除菌について掘り下げてお話して参ります。
アルコールの除菌効果
併せて読みたい!
除菌、殺菌用のアルコールでは主にエタノールが最も利用されています。エタノールは数あるアルコールの中でも安全性が高く、除菌効果も高いというのが理由です。市販されているエタノールには
- 無水エタノール
- エタノール
- 消毒用エタノール
がありますが、除菌に向いているのは「消毒用エタノール」です。
エタノールが最も除菌効果を発揮するのはアルコール濃度が70~80%であり、消毒用はこの濃度になるよう調整されているのです。
>>え?エタノールがたっぷり入っていた方がめちゃくちゃ除菌しそうじゃん!<<
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、アルコール濃度が高すぎると除菌に時間がかかってしまいます。
エタノールは様々な菌に対して除菌効果がありますが、前回コロナウイルスはアルコールで不活性化ができる一方でノロウイルスは不活性化できないとお話したように、除菌できない菌もあります。
それではどのようなものに効果があって、どのようなものに効果がないのか具体的に見ていきましょう。
除菌できるケース
まず、食中毒の原因菌として知られる、
- 病原性大腸菌
- 黄色ブドウ球菌
- 腸炎ビブリオ
- サルモネラ菌
などには効果が高く、瞬間的な除菌力があります。
また、菌とはまた異なりますが前回もお話したエンベロープと呼ばれる脂質性の膜をもったウイルスにも効果があります。例えばインフルエンザウイルスやHIVウイルス、今話題のコロナウイルスなどです。
※使用上の注意
除菌できる~!と書きましたが、使い方には注意が必要です。例えば手を洗った際、念には念を入れてアルコール消毒をされる場合、手が濡れたままアルコール消毒液をつけるとアルコール濃度が薄まってしまい、除菌効果が落ちてしまいます。同様に、身の回りの物をアルコール消毒する際も濡れた状態ではなくしっかり乾いた状態で使用しましょう。
また、アルコールでビタビタにしているから大丈夫!というわけではありません。アルコール消毒後はしっかりそれを乾かしてください。消毒液に含まれる水分が残ることでそれに雑菌が繁殖するケースがあります。
アルコールは真菌であるカビにも除菌効果を持ちます。湿気が多い浴室や洗面所、窓サッシやエアコンフィルターなどに発生しやすい黒カビの退治にもアルコールはおすすめです。ただし、アルコールには漂白効果はありませんので、カビによる黒ずみなど色素沈着までは落とせません。また、カビが発生しやすい環境はどうしても湿気も多く濡れやすいところなので、先ほども申し上げたように消毒の前後はしっかり乾かしてください。
除菌できないケース
アルコールで除菌ができないのは、ウェルシュ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌のような芽胞を形成する細菌です。
芽胞とは、菌が生存に適さない環境(高温環境・乾燥環境・栄養状態が悪い環境など)になると体内に形成する固い殻のことです。いわばバリア機能です。
芽胞は強固なため、薬剤や熱、乾燥にも大変強く、アルコールの効力はありません。
また、これはウイルスのケースですがノロウイルスをはじめ、エンベロープ(脂質膜)を持たないウイルスに対しては効力は持ちません。
アルコールの除菌メカニズム
エタノールは細菌やウイルスのタンパク質に直接アタックして死活、あるいは不活性化させます。
ウイルスのエンベロープを破壊する! ということは何度も書きましたが、細菌の場合は細胞膜を壊すことができます。
また、タンパク質の変性や代謝機能の阻害、溶菌作用などがあり、それによって除菌できるのです。
追記2020.02.27
容量%をもとに、アルコール濃度を調整する計算方法については下記の記事をご参照ください
除菌や殺菌、抗菌など、いろいろありすぎてもうよくわからなくなってきた方は下記の記事をご参照ください!
追記2020.03.27
工業用IPAと消毒用IPAの違いに関する記事を書きました
追記2020.04.17
↓成分がわかってもわからないこともあります!↓