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化学用語解説 身近な有機溶剤
2026.04.24
国内のエチレン生産設備の状況とイラン情勢の影響【4/23日現在】
イラン情勢の悪化により、基礎化学品エチレンの原料であるナフサの輸入が難しくなりつつあります。これを受けて、国内にはエチレン生産設備(エチレンプラント)が12基ありますが、大半が減産中です。
エチレンプラントでは、エチレンの他に、プロピレン、ブタジエンなどの基礎化学品を生産しています。これらはプラスチックなどの合成樹脂の原料や工業用の溶剤、洗浄剤などさまざまな分野で使われているため、幅広い分野に影響が広がる恐れがあります。
国内のエチレンプラントの現状とイラン情勢の影響について詳しく解説します。
国内エチレンプラントの状況と見通し
4月23日現在で判明している各社の状況は以下の通りです。国内にあるエチレンプラント12基のうち少なくとも7基が減産中です。石油化学工業協会は、国内のエチレン生産設備の3月の稼働率は68.6%(速報ベース)だったと4月23日に発表しました。これは、データがある1996年1月以降で最低の数値となっています。
| 企業名 | 所在地 | 国内生産能力に占める割合 | 現況 |
| 出光興産 | 千葉県市原市 山口県周南市 |
16% | 減産開始し継続中 |
| 三菱ケミカルグループ | 茨城県神栖市 | 8% | 3/6減産開始。5月の修理入りまで原料確保 |
| 三菱ケミカルグループ・旭化成の共同運営 | 岡山県倉敷市 | 8% | 3/11減産開始。6月下旬までの原料確保 |
| 三井化学 | 千葉県市原市 大阪府高石市 |
16% | 3/9減産開始。6月中の原料確保、大阪は6月から定期修理 |
| 東ソー | 三重県四日市市 | 8% | 定期修理後の4/25再稼働予定。6月中の原料確保 |
| 丸善石油化学・住友化学の共同運営 | 千葉県市原市 | 11% | 定期修理後の再稼働を延期し、9日の立ち上げ後は減産中 |
| 丸善石油化学 | 千葉県市原市 | 8% | 減産中 |
| ENEOS | 神奈川県川崎市に2基 | 15% | 稼働状況非公開 |
| レゾナック・ホールディングス | 大分県大分市 | 10% | 定期修理後の4月末に再稼働予定 |
出光興産では、千葉事業所(千葉県市原市)と徳山事業所(山口県周南市)で減産を始めたと3月16日に明らかにしました。減産開始時期は明らかにしていません。
三菱ケミカルグループでは、鹿島コンビナート(茨城県神栖市)にあるエチレンプラント1基で、6日から減産を開始しました。5月の定期修理入りまでの原料は確保しています。
また、同グループと旭化成で共同で運営する水島コンビナート(岡山県倉敷市)の1基でも11日から減産を始めました。6月下旬までの原料は確保しています。
三井化学では、千葉県市原市と大阪府高石市のエチレンプラント合計2基で減産を始めたことが10日、明らかになりました。6月中の原料は確保しています。大阪のプラントは、6月から定期修理に入る予定です。
東ソーは、定期修理中の三重県四日市市のエチレンプラント1基を4月25日に再稼働する予定です。6月中の原料は確保しています。
丸善石油化学と住友化学は、千葉県市原市で共同運営し、現在定期修理中のエチレンプラント1基について、再稼働を延期すると12日に明らかにしました。
丸善石油化学が千葉県市原市で単独で運営するエチレンプラント1基は、稼働率を下げて稼働中です。
ENEOSは、神奈川県川崎市で運営するエチレンプラント2基の稼働状況を公表していません。
レゾナック・ホールディングスは、大分県大分市のエチレンプラント1基を、計画通り4月末に再稼働予定です。
減産はホルムズ海峡封鎖によるナフサ枯渇懸念のため

エチレンプラントが原料とするナフサは、原油から精製されています。日本は、その原油の99.5%を輸入に頼り、そのうちの約90%がホルムズ海峡を通過していましたが、米国・イスラエルとイランとの戦争により、同海峡が事実上封鎖されたことで、原油調達の見通しが不透明となりました。
この影響でナフサの供給懸念が高まり、エチレンプラントを持つ各社は、原料枯渇を避けるため減産を始めています。また、エチレンプラントは停止後の再稼働に時間を要するため、完全停止ではなく稼働率を引き下げる形で対応しています。
エチレンプラントで生産されるもの
エチレンプラントでは、ナフサを熱分解して、エチレンやプロピレン、ブタン、ブテン、ブタジエンのほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが一定の比率で生産しています。これらは、主にパイプラインを通じてコンビナート内にある他の工場に供給されています。
これらを加工したり、化学反応させたりすると、さまざまな中間材料ができます。たとえば、エチレンはプラスチックの一つであるポリエチレンや、塩化ビニル樹脂、エチレングリコールなどがつくられます。また、プロピレンからも同様にプラスチックの一つであるポリプロピレンや、プロピレングリコール、アセトンなどができます。その他、食品の包装材や自動車のタイヤ、家電、洗剤、合成ゴム、合成洗剤、塗料・インキのシンナー、各種工業用洗浄剤など、ありとあらゆる分野で幅広く使われています。
減産の影響はあらゆる産業に
トルエンやキシレンなどの有機溶剤は既に出荷制限がかかり、価格が上昇しており、4~5月には枯渇する恐れもあるとみられています。
ポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用樹脂は国内在庫があるため、すぐに顕在化する影響は限定的とみられますが、エチレン供給不安が長引けば、さまざまな産業に影響が出る恐れがあります。
有機溶剤の代替
三協化学では、イラン情勢悪化で入手が難しくなっている各種有機溶剤の代替品をご紹介しております。詳しくは下記リンクをご覧ください。
トルエン、キシレン、メタノールの代替→「イラン情勢悪化によるトルエン、キシレン、メタノール等の品薄と代替品を解説」
IPA(イソプロピルアルコール)の代替→「イラン情勢の悪化によるIPA(イソプロピルアルコール)の品薄と代替品を解説」
酢酸エチルの代替→「イラン情勢の悪化による酢酸エチル(酢エチ)の品薄と代替品を解説」
酢酸ブチルの代替→「イラン情勢の悪化による酢酸ブチル(酢ブチ)の品薄と代替品を解説」
MEK(メチルエチルケトン)の代替→「イラン情勢に伴うMEK(メチルエチルケトン)の品薄と代替品を解説」
その他の有機溶剤の代替もご提案可能な場合がありますので、お気軽に下記リンクよりお問い合わせください。
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