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有機溶剤

2026.09.29

1-ブロモプロパンとは?用途や有害性、法規制をわかりやすく解説

1-ブロモプロパンは、発がん性が懸念され、特定化学物質障害予防規則(特化則)で規制される一部の塩素系有機溶剤の代替として、金属部品や電子部品などの脱脂などに使用されてきた有機溶剤です。

一方で、1-ブロモプロパンも神経系や生殖機能などへの影響が懸念されており、取り扱う事業者には、リスクアセスメントやばく露低減措置などの適切な化学物質管理が求められます。

この記事では、1-ブロモプロパンの特徴、用途、有害性、法規制、取り扱い上の注意点について解説します。

1-ブロモプロパンとは?

1-ブロモプロパン 構造式

1-ブロモプロパンは、臭素系有機溶剤の一つです。n-プロピルブロマイドや臭化n-プロピル、ノルマル-プロピルブロミドなどとも呼ばれます。化学式はC3H7Brで、CAS番号は106-94-5です。上の図が構造式です。常温では無色透明の液体で、揮発性が高く、甘いような特有のにおいがあります。

ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)など、発がん性が懸念され、特化則で規制される塩素系有機溶剤の代替品として使われてきました。特に、金属部品や電子部品の脱脂洗浄剤などとして採用されてきました。

項目 内容
物質名 1-ブロモプロパン
別名

n-プロピルブロマイド
臭化n-プロピル

英文名 1-Bromopropane
n-Propyl bromide
CAS No. 106-94-5
比重 1.353(20/4℃)
沸点(℃) 71
引火点(℃) -10
使用用途 医薬中間体、工業用洗浄剤、他
消防法 第1石油類非水溶性
有機溶剤中毒予防規則(有機則) 非該当
PRTR制度 第1種指定化学物質(1-ブロモプロパン 政令番号:1-427)

臭素系有機溶剤とは?

臭素系有機溶剤とは、分子内に臭素を含む有機溶剤の総称です。1-ブロモプロパンや2-ブロモプロパン、ブロモエタン、1-ブロモブタンなどがあります。しかし、工業用の洗浄剤としては、専ら1-ブロモプロパン単体や、1-ブロモプロパンを主成分とする安定剤入りの洗浄剤が使われています。

1-ブロモプロパンの主な用途

用途1-ブロモプロパンは、溶解力や乾燥性を生かし、金属部品の洗浄・脱脂や電子部品の洗浄、接着剤の溶剤、エアゾール製品の溶剤、医薬品や農薬などの有機合成の原料として主に使われてきました。また、フロン系や塩素系溶剤の代替品としても採用されてきました。

1-ブロモプロパンの有害性

有害性1-ブロモプロパンは、蒸気を吸い込んだり、皮膚に触れたりして体内に取り込まれると、健康へ悪影響を及ぼす恐れがあります。

急性の悪影響

1-ブロモプロパンの高濃度の蒸気を吸い込むと、目や呼吸器への刺激、頭痛、吐き気、眠気、めまい、中枢神経系の抑制などが生じることがあります。

長期間または繰り返しばく露した場合の影響

1-ブロモプロパンを長期間または繰り返し、吸い込んだり触れたりすると、手足のしびれや歩行の異常、発音嚥下障害など神経系や、肝臓、呼吸器に悪影響が出る恐れがあります。また、生殖機能や胎児への影響、発がん性のおそれも指摘されています。

関連する法規制

関連する法規制1-ブロモプロパンは、有機則や特定化学物質障害予防規則(特化則)の規制対象ではありませんが、労働安全衛生法(労安法)や消防法、PRTR制度などで規制されています。取り扱う場合は、それらの法令を遵守しなければなりません。

労安法と濃度基準値

1-ブロモプロパンは、労安法により、ラベル表示、SDSの交付およびリスクアセスメントの対象物質です。

事業者は、1-ブロモプロパンによる危険性や有害性を確認し、作業者がどの程度ばく露する可能性があるかを評価したうえで、必要なリスク低減措置を講じなければなりません。

また、1-ブロモプロパンには、労働者が1日8時間ばく露する場合の基準となる八時間濃度基準値として、0.1ppmが設定されています。

1-ブロモプロパンを製造または取り扱う屋内作業場では、労働者がばく露される程度を0.1ppm以下にする必要があります。また、リスクアセスメントの結果、濃度基準値を超えるおそれがある場合は、作業者のばく露濃度を測定し、その結果に応じて設備の密閉化や局所排気装置の設置、作業方法の改善、適切な保護具の使用などの対策の実施が求められます。

詳しくは、別記事「臭素系溶剤の新たな規制について(1-ブロモプロパンの規制、2024年4月施行)」をご覧ください。

消防法

1-ブロモプロパンは引火点が-10℃と低く、消防法では「第4類・第一石油類・非水溶性液体」に分類されています。指定数量は200Lです。

常温でも火花や炎、静電気などによって引火する危険があるため、火気や着火源を近づけないようにします。また、使用する設備や保管量に応じて、防爆対策や危険物施設に関する消防法上の基準を確認する必要があります。

消防法については、別記事「消防法とは?該当する有機溶剤、指定数量の考え方などもわかりやすく解説」をご覧ください。

PRTR制度

1-ブロモプロパンは、化学物質排出把握管理促進法(化管法)の第一種指定化学物質に指定されており、PRTR制度(PRTR法)の対象となります。
そのため、対象業種や従業員数、年間取扱量などの要件を満たす事業者は、1年間に環境へ排出した1-ブロモプロパンの量や、廃棄物などとして事業所の外へ移動した量を把握し、国へ届け出る必要があります。

PRTR制度については、別記事「PRTR制度(PRTR法)とは?対象の有機溶剤なども、わかりやすく解説します」をご覧ください。

取扱上の注意点

1-ブロモプロパンを取り扱う場合は、作業者の健康を守るため、蒸気の吸入や皮膚への付着、防火施策が必要です。

作業場所では十分に換気を行い、必要に応じて局所排気装置を使ってください。洗浄設備や容器は、できる限り密閉し、1-ブロモプロパンの蒸気が作業場に漏れないようにすることが重要です。

また、1-ブロモプロパンは引火性があるため、火気や火花、静電気などの着火源を近づけないように注意しましょう。設備や作業条件に応じて、アースの接続や防爆仕様の機器の使用なども検討してください。

作業時は、SDSを確認したうえで、保護手袋、保護眼鏡、保護衣、呼吸用保護具など、作業内容に適した保護具を使うようにしましょう。特に保護手袋は、材質によって溶剤への耐性が異なるため、耐透過性を確認して選ぶ必要があります。

代替品への切り替えが進む

見てきたように、1-ブロモプロパンは、引火性があり消防法で規制されているだけでなく、有害性が高く、健康への悪影響の恐れがある物質です。そのため、少しでもより安全なものにしようと代替品への切り替えが進んでいます。三協化学の製品のうち1-ブロモプロパンの主な代替品は以下の通りです。ただし、用途や作業環境によっては、他の製品が最適な場合もあるため、代替品をお探しの方は、ページ下部のリンクよりお気軽にお問い合わせください。

系統 製品名 メリット デメリット 推奨用途 使用方法
炭化水素系洗浄剤 メタルクリーナーシリーズ
  • 脱脂力が高い
  • コストパフォーマンスに優れる
  • 塩素系や臭素系よりも有害性が低い
  • 引火点が低いものは乾燥が早い
  • 引火点があり、消防法に該当する
  • 引火点が高いものは乾燥が遅い傾向があり、専用洗浄機が必要
  • 脱脂洗浄
  • 浸漬
  • ウエス拭き
  • 専用洗浄(減圧蒸気洗浄機等)
準水系洗浄剤 ファインゾルWシリーズ
  • 引火点がなく、消防法非該当
  • 臭素系、フッ素系よりも安価
  • 水を含むため、水が付着してはいけないものには使えない
  • 比較的乾燥が遅い(エアブローによる除去が可能)
  • 脱脂洗浄
  • 樹脂洗浄
  • 浸漬
  • ウエス拭き
  • 超音波洗浄機
  • 加温洗浄槽
フッ素系洗浄剤 ファインゾルCⅢシリーズ
  • 引火点がなく、消防法非該当
  • 乾燥性に優れており、ジクロロメタンと同等の乾燥速度
  • 高コスト(塩素系の20~30倍、臭素系の5~10倍)
  • 高コストのため専用洗浄機の使用が望ましい
  • 脱脂洗浄
  • 蒸留再生可能な密閉された専用洗浄機

まとめ

1-ブロモプロパンは、金属部品や電子部品の洗浄、接着剤の溶剤、医薬品や農薬の原料などに使用されてきた臭素系有機溶剤です。

一方で、引火性があるほか、神経系や生殖機能などへの影響が懸念されており、労働安全衛生法に基づく八時間濃度基準値として0.1ppmが設定されています。

使用する際は、SDSを確認したうえでリスクアセスメントを行い、設備の密閉化、局所排気装置の使用、保護具の着用などによって、作業者のばく露を抑えることが重要です。

また、管理が難しい場合には、作業方法の見直しや、より扱いやすい洗浄剤への代替も検討する必要があります。代替品を選ぶ際は、安全性だけでなく、洗浄力、乾燥性、対象物への影響、設備との適合性などを総合的に確認しましょう。

1-ブロモプロパンについての疑問や質問、代替品のお求めは、下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせバナー 詳しい内容やご質問・ご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください

コメント

  1. 塩化メチレンを使用しております。
    特化則に該当するため、臭素系に変えようと思うのですが、
    臭素系が将来的に有機則や特化則にかかるようなことはあるのでしょうか?

    変えるなら手間もかかるので、ずっと使えるものが良いと考えています。

    1. sankyo

      >>小西庄司様

      臭素系の中でもすでに2-ブロモプロパンは有機溶剤中毒予防規則に該当する溶剤となっております。
      1-ブロモプロパンは今の所有機溶剤中毒予防規則に該当していませんが、平成28年報告の有害物ばく露作業報告対象物質に指定され、リスク評価の結果規制が入る恐れがあります。
      使用用途にもよりますが、各社様塩素系溶剤や臭素系溶剤の代わりとしてお使いいただける製品の開発が進んでおりますので
      是非一度お調になることをお勧め致します。

      弊社でもファインゾルWシリーズという、塩素系や臭素系の代わりとしてお使いいただける洗浄剤を作っております。

  2. こちらの臭化プロピルに限ったことではないのですが基本的に炭化水素系の薬剤はBBBを容易に通過することができ臭素(ブロム)が中枢神経系に作用を持つことが古くから知られていますので今後規制強化されても仕方ない物質かなぁ…
    と思ってしまいました。
    あくまでも構造式を見ての判断であり個人的見解です。

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