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化学規制
2017.06.15
よくあるご質問② 危険物の輸送について①
目次
通常の輸送方法と危険物の輸送方法の違いって?
危険物を輸送中に事故が起こると、普通の荷物よりも危険性が高いため、消防法などで輸送量や一緒に運ぶことができるものなどが規制されています。
危険物を取り扱うお仕事に従事している方は特に、これらのポイントを覚えておくことが大切です。
危険物輸送の種類
危険物の輸送はその運搬方法によって、2種類に区別されており、それぞれ、かかる規制や、免許、備え付けておかなければならない書類が異なります。
運搬
トラックなどの車両で危険物を輸送することを言います。
運搬は下の「移送」よりも危険を伴うので、消防法で指定された数量以下でも消防法の規制を受けるため、注意して下さい。
移送
タンクローリー(移動式タンク貯蔵所)での危険物の輸送のことです。
「運搬」とは違って、指定数量以下では消防法の規制を受けません。
しかし、タンクローリーで危険物を運ぶ(移送)場合は、危険物取扱いの免許を携帯した危険物取扱者を乗車させる必要があります。
また、下記の書類を備え付けておかなければなりません。
- 完成検査証
- 定期点検記録
- 譲渡引渡の届出書
- 品名数量または指定数量の倍数の変更届出書
指定数量について
「運搬」と「移送」のところでも軽く書きましたが、特に移送時は消防法で定められた「指定数量」が重要なポイントになってきます。
この指定数量とは、消防法で定められた、危険物を保管・輸送できる量を制限した規制のことです。
指定数量は、運ぶものが消防法の第何類の何に該当するかによって細かく定められています。
第四類に該当するものをピックアップしてみますと、同じ第四類でも、更に細かく分けられた区分+水に溶けるか溶けないかによって細かく指定数量が決められています。
類別 | 性質 | 指定数量 | |
第4類 | 特殊引火物 | — | 50L |
第1石油類 | 非水溶性 | 200L | |
水溶性 | 400L | ||
アルコール類 | — | 400L | |
第2石油類 | 非水溶性 | 1000L | |
水溶性 | 2000L | ||
第3石油類 | 非水溶性 | 2000L | |
水溶性 | 4000L | ||
第4石油類 | — | 6000L | |
動植物油類 | — | 10000L |
また、この指定数量に満たない場合も禁止事項がいくつかあり、注意しなければなりません。
①指定数量の10分の1未満の場合 |
高圧ガスとの混載禁止 |
②指定数量の10分の1~指定数量の場合 |
高圧ガスとの混載禁止 類が異なる危険物の混載禁止 |
③指定数量以上の場合 |
高圧ガスとの混載禁止 類が異なる危険物の混載禁止 「危険物」標識を車両の前後に掲示 運搬する危険物に適応する消火設備をつける |
高圧ガスとの混載禁止
高圧ガスとは、ガスに圧力をかけて圧縮したもののことで、一般的には大気圧(1気圧)よりも高い圧力のガスのことを指します。
日本における高圧ガスとは、高圧ガス保安法で定められたもの指し、圧縮ガス、液化ガス、特定高圧ガスの大きく3種類に分類できます。
圧縮ガス
常温で気圧が1MPa(約10気圧)以上になるもの。(但し、アセチレンガスは常温で0.2MPa(約2気圧)以上)
液化ガス
物質は気体よりも液体の方が容積が少なくなるためガスを加圧冷却して液体にしたもので、常温で0.2MPa(約2気圧)のもの。
特定高圧ガス
圧縮液化天然ガスや液化石油ガスなどが対象。
これらは爆発事故を起こす可能性が高いため、保管や輸送について厳しく決められています。
輸送する危険物の量に関係なく、危険物と高圧ガスとを一緒に輸送することはできません。
類が異なる危険物との混載禁止とは
危省令(危険物の規制に関する規則)第46条に、「類を異にするその他の危険物又は災害を発生させるおそれのある物品と混載しないこと」とあり、危険物の中で一緒に輸送できるものとできないものが決められています。
2つの類の数字を足して7になる組み合わせ、2類と4類および4類と5類の組み合わせは混載できると覚えると分かりやすいです。
混載できる類の組み合わせ
1類 | 2類 | 3類 | 4類 | 5類 | 6類 | |
足して7になる | 6類 | 5類 | 4類 | 3類 | 2類 | 1類 |
2類と4類 | 4類 | 2類 | ||||
4類と5類 | 5類 | 4類 |
但し、危険物の量が指定数量の10分の1未満の場合は、類が異なる危険物との混載禁止は適用されず、どの組み合わせでも輸送することができます。
「危険物」標識を車両前後に提示
危険物を指定数量以上輸送する場合は、30cm×30cmの地が黒色の板に黄色の反射塗料や反射性のある材料で「危」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げなけばなりません。(但し、タンクローリーなどの移動タンク貯蔵所の場合は、板の大きさが30cm×30cm以上40cm×40cm以下になります)
運搬する危険物に適応する消火設備
危険物の規制に関する政令 別表第五(第二十条関係)に従って、適切な消火設備を備える必要があります。
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