加工油とは
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油について①
私たちの身の回りにある多くの人工物は、切ったり削ったり、プレスしたり、穴をあけたり、型出ししたりされて作られています。
加工油は、金属を上のように加工する際に活躍します。
上の記事で、『加工油はそれぞれ、摩擦を防ぎ潤滑性を持たせることができたり、熱を冷ますことができたり、錆を防ぐことができます』と書きましたが、
加工油は主に、金属を加工するときに使う工具や工作機械の寿命を延ばす目的で使われます。
加工油の分類と洗浄剤
「油について①」の記事の通り加工油は、潤滑性や抗溶着性に優れた「油性加工油」と、引火の危険性がなく冷却性に優れた「水溶性加工油」に分類されます。
金属が目的の形になった後は、「油性加工油」も「水溶性加工油」も洗い落とす必要があります。
加工油と洗浄剤の相性
上で分類した2タイプの加工油ですが、油性か水溶性かで洗浄剤も使い分けます。
油性タイプでは主に、下記のタイプの洗浄剤を使います。
- 水系洗浄剤
- 準水系洗浄剤
- 炭化水素系洗浄剤
- アルコール系洗浄剤
- 塩素系洗浄剤
- 臭素系洗浄剤
一方、水溶性加工油での洗浄剤は下記の3種類です。
- 準水系洗浄剤
- 炭化水素系洗浄剤
- アルコール系洗浄剤
- 水系洗浄剤
今回は、油性加工油も水溶性加工油も落とせる
「準水系洗浄剤」
「炭化水素系洗浄剤」
「アルコール系洗浄剤」
の3タイプについて、お話していきます。
それぞれの洗浄剤の特徴
油が油性か水溶性かで洗浄剤を使い分ける、と申し上げましたが、洗浄剤を選ぶポイントはそれだけではありません。
それぞれの洗浄剤の特徴を活かせるシーンや用途を見極めることが大切です。
◎準水系洗浄剤
【メリット】
●高精度の洗浄ができる
●多くの金属や樹脂系素材に対応可能
●安全性が高い
●非危険物タイプの洗浄剤では、超音波洗浄機との併用により洗浄効果が向上する
【デメリット】
●排水処理の負担が大きい
●金属に対して防錆対策が必要
●ランニングコストが高い
●再生使用が困難
●可燃のものは消防法上の管理が必要
●非危険物のものは水分管理が必要
◎炭化水素系洗浄剤
【メリット】
●油分溶解力が強い
●毒性が低い
●金属に対し、腐食・錆の心配がない
【デメリット】
●引火性があり、消防法上の管理が必要
●固形物の汚れには不向き
◎アルコール系洗浄剤
【メリット】
●浸透性がよく細部の洗浄が可能
●毒性が低い
【デメリット】
●引火性が高く、消防法上の管理が必要
●油分溶解力が小さい
●吸湿性があるため、水分管理が必要
金属加工時に起こる洗浄不良
水溶性加工油を洗浄する場合、洗浄剤によっては乾燥後、写真のように白い固形物が付着する場合があります。
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これは、加工油の中に含まれる、極圧剤などの添加剤成分が洗浄されずに残ってしまうためだと考えられます。
そのため、もし白い固形物が残らないよう洗浄したい場合は、添加剤成分を含んだ水分ごと基材から分離できる洗浄剤を使用する必要があります。
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水溶性加工油と洗浄剤の相性などで、添加剤成分ごと洗浄できる製品でも結果が異なる場合もございますので、サンプルなどで事前に比較試験することをお薦め致します。
三協化学製 水溶性加工油洗浄剤はこちら
洗浄剤を使って、加工油を洗浄する工程があるのですが、時々シミのようなものが残ります。
こういったものも洗浄不良と考えてよいのでしょうか?
洗浄剤を変えれば、良くなる可能性はありますか?
おすすめのものがあれば教えてください。