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洗剤・溶解・剥離
2025.06.19
シンナーとは?わかりやすく解説します
皆さんも「シンナー」という言葉をおそらくお聞きしたことがあるのではないでしょうか?
この記事では、シンナーについて定義や種類などを中心に、わかりやすく丁寧に解説します。
目次
シンナーとは
シンナーとは、塗料を薄めるための有機溶剤です。英語で薄めるという意味の“thin”に由来します。
塗料を希釈するためだけでなく、金属などについた油を除去する脱脂洗浄用途や、樹脂を溶かして落とす樹脂洗浄用途などにも用いられており、その用途によってさまざまな種類のシンナーがあります。
シンナーの多くは、複数の有機溶剤を混ぜ合わせて作られています。トルエンやキシレンなど毒性の強い物質を含むものは、シンナー中毒になるおそれもあります。
※有機溶剤については、別記事「有機溶剤とは?わかりやすく解説します」で詳しく説明していますので、併せてお読みください。
シンナーの種類
シンナーにはさまざまな種類があり、用途によって使い分ける必要があります。代表的なものを見ていきます。
塗料用シンナー
塗料用シンナーは、弱溶剤で溶ける塗料を薄めて粘度を下げて、塗りやすくしたり、塗装道具の洗浄などに使います。メーカーによってペイント薄め液、塗料用薄め液、ペイントシンナーなどの商品名で販売されています。
ミネラルターペン(ミネラルスピリット)という脂肪族炭化水素を主成分としています。
溶解力は弱いため下地を浸しにくく、揮発性が低いため乾燥は遅いですが、臭気は比較的弱いです。また、毒性も比較的弱いです。
油性塗料を溶かす用途に向いていますが、ラッカー系塗料に対しては溶解力が足りないため溶かすことができません。
ラッカーシンナー
ラッカーシンナーは、ラッカー系の塗料を薄めたり、塗装用具を洗ったりするためのシンナーです。
樹脂を溶解するためトルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素かナフテン類炭化水素、ニトロセルロースを溶解するため酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステルやアセント、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系などを主に配合することが多いです。
また助剤としてニトロセルロースを溶解しやすくするメタノールやエタノールなどのアルコール類も配合することが多いです。
乾燥性と溶解力に優れています。しかし、比較的臭気が強く、有害性が高いものが多いです。
塗料用シンナーで溶ける塗料をラッカーシンナーで溶かすことはできますが、下地を侵す可能性もあるので注意しましょう。
その他合成樹脂シンナー
それぞれの樹脂の性質に合わせて、メラミンシンナーや静電用シンナー、アクリルシンナー、ウレタンシンナー、エポキシシンナーなどに分かれています。
それぞれの樹脂の性質に合わせてシンナーの成分を変えているため、例えばアクリル樹脂にウレタンシンナーを使うなど、ある樹脂に対して他のタイプのシンナーを使っても、相性が悪いためうまく溶けません。
▲㊧ラッカー塗料を塗料用シンナーで希釈したもの ラッカー塗料をラッカーシンナーで希釈したもの㊨▲
メラミンシンナー
メラミンシンナーは、金属の焼付塗装に用いるメラミン塗料用のシンナーです。
焼付塗装では、塗料を塗ったあと約160℃の高温釜に入れ乾燥、樹脂を架橋反応させ硬化させます。
メラミンシンナーには芳香族炭化水素類の有機溶剤を配合することが多いです。
焼付塗装は温度管理が難しいため気温によって夏用シンナー、冬用シンナー、春秋用シンナーを使い分けます。
静電用シンナー
焼付塗装のうち、塗料に静電気を帯電させ対象物に引き寄せて塗装する静電塗装では、静電用シンナーを使います。
静電用シンナーは、芳香族炭化水素類に、エーテルグリコール類かアルコール類かケトン類を配合することが多いです。
静電用シンナーもメラミンシンナーと同様に焼付塗装で使うため夏用シンナー、冬用シンナー、春秋用シンナーがあります。
アクリルシンナー
アクリル塗料用のシンナーです。アクリル樹脂を溶かすために芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類、添加剤としてエーテルグリコール類を配合することが多いです。
ラッカーシンナーでも代用できます。
ウレタンシンナー
ウレタン系塗料用のシンナーです。ウレタン樹脂を溶かすためエステル類やケトン類を含み、また助剤として芳香族炭化水素類も配合することが多いです。
エポキシシンナー
エポキシ塗料用のシンナーです。
エポキシ樹脂は種類が多く、それぞれに専用シンナーを用いることが多いです。
エポキシシンナーの代表的な組成としては、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エーテルグリコール類などです。
脱脂洗浄用シンナー
シンナーは、工業の分野で金属や樹脂、ガラスなどの表面に付着した油分を取り除く、脱脂洗浄用途にもよく使われています。
脱脂洗浄で使うシンナーは、溶解力の強い炭化水素系のトルエンやキシレンの他、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを成分として含むことが多いです。
シンナーを取り扱う際の注意点
シンナーの成分であるトルエンやキシレン、アセトンなどの有機溶剤には毒性があり、皮膚に触れたり、気化した蒸気を吸い込んだりすると健康に悪影響を及ぼす恐れがあり、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)、毒物および劇物取締法(毒劇法)などの法令で規制されているものもあります。また引火性があり消防法で規制されているものも多いです。
安全データシート(SDS)をよく読み、必要に合わせて、換気装置を設置する、防毒マスク、化学防護手袋を着用するなど、しっかりとした対策をするようにしましょう。
シンナー遊び
シンナーに含まれるトルエンやキシレンなどの蒸気を吸うシンナー遊びが青少年の間で1960年代後半から流行しました。
シンナーを吸うことで脳を麻痺させ、強い快感(多幸感)を感じることができますが、吸い続けるうちに中枢神経に強く作用して、幻覚や幻聴、妄想などの症状が出て、回復不能の脳障害や全身の筋肉、骨をむしばみます。意識不明の重体になる人や死亡する若者が相次ぎ、社会問題となりました。
こうした乱用を防ぐため、トルエンやキシレンが1972年から毒劇法の劇物として指定され、販売などが規制されるようになりました。
弊社のNTXエコシンナーのようにトルエン、キシレンを含まないシンナーもあります。※NTXはノントルエンキシレンの意味
三協化学のシンナー
弊社では、以下のシンナー製品などを幅広く取り扱っています。
製品名 | 特徴 |
シンナー代替 NTXエコシンナー | 樹脂溶解力と脱脂力ともにある。ラッカーシンナーの代替品。トルエン・キシレン非含有。 |
第二石油類シンナー代替 NTX2石エコシンナー | 樹脂溶解力と脱脂力の両方がある。第2石油類タイプ。トルエン・キシレン非含有。 |
トルエン・キシレン非含有 NTXラッカーシンナー | ラッカー塗料の希釈や洗浄に適したシンナー。 |
トルエン・キシレン非含有 NTXウレタンシンナー | ウレタン塗料の希釈や洗浄に適したシンナー。季節により乾燥性を調整したS(夏用)、M(春秋用)、W(冬用)がある。 |
トルエン・キシレン非含有 NTX洗浄用シンナー | 塗装前の脱脂洗浄や、塗装器具の洗浄に適したシンナー |
その他、各種シンナー | それぞれの用途にあわせて、各種シンナーを取りそろえております。 |
シンナーに関する疑問質問、シンナーをお求めの方は、下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。
シンナーに関する質問
※2024年11月19日更新
以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)
質問No.01~10
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
ラッカー塗料を塗料シンナーで希釈できない、アクリル樹脂にウレタンシンナーが使えないと理解しましたが、それはなぜでしょうか?
樹脂を溶かす力の違いですか?
それとも他に理由があるのでしょうか。教えてください。
ラッカー塗料を塗料用シンナーで希釈できないのは、塗料用シンナーで希釈ができるアルキッド樹脂塗料に比べ、ラッカー塗料に使用される樹脂(ニトロセルロースやアクリル樹脂など)は高い溶解力が必要だからです。
アクリル樹脂にウレタンシンナーが使えないわけではありません。ウレタンシンナーの中でも溶解力の高いものであれば、アクリル樹脂塗料を希釈することはできます。しかしその逆で、ウレタン樹脂塗料に対してアクリルシンナーを使用すると、アクリルシンナーに含まれるアルコール成分がウレタン樹脂塗料に含まれる架橋剤と化学反応を起こし塗膜を作れなくなってしまうので注意してください。
またウレタン樹脂塗料に付いては種類が多く、塗料用シンナーで溶解できる物もあれば高い溶解力を持つシンナーを必要とするウレタン樹脂塗料もあります。
さんせんあらいにだした配管をラッカーシンナーで洗い、その後ポリウレタン塗料を塗布するんですが大丈夫でしょうか?
ラッカーシンナーにはアルコールが含まれていますので、アルコールのついた状態で塗装すると、ウレタン塗料が硬化不良を起こします。
完全乾燥させた状態で塗装なさってください。
ラッカーシンナーに#・・・・と番手が有りますが番手によって何が違うのでしょうか?
メーカーによって異なりますが、配合されている成分そのものが異なるケースが多いです。それによって、溶解度や乾燥性などが変わってきます。
また、例えばA社のラッカーシンナー#100とB社のラッカーシンナー#100があったとして、その二つも異なることがありますので確認が必要です。
それぞれの会社の基準で番号が振られているため、異なってきてしまうのです。
なので、たとえば「おつかい」を頼むときは、しっかりメーカーも指定する必要があります。
エンジンのアルミや鉄の油脂分除去に最も適したシンナーの種類を教えて下さい。
一般的には「ラッカーシンナー」が使われています。
自宅屋根塗装中(色はオレンジ)、誤ってペンキが飛散した際に、その小さなペンキ痕にシンナーを吹きかけるだけで、落とせますでしょうか?また、なにか布やヤスリ・たわし等の刺激のあるもので削らなければ落ちないのでしょうか?
屋根はコロニアル屋根です。ペンキが油性、水性のパターンで異なると思いますが、どちらのパターンもお教えください。
塗料などに大変精通されていると思ったので、質問させてください。
使用方法としてはシンナー塗布後、布などで拭き取ってください。ペンキのついた場所の下地がシンナーに弱い場合、下地も一緒にとれてしまうおそれがありますので、目立たないところでお試しになってから、ご使用ください。
油性塗料も水性塗料も、乾いてしまえばすべて樹脂です。そのため、どのような樹脂かによって、シンナーを使い分ける必要があります。
強い樹脂であれば、ラッカーシンナーなどの強力なシンナーが必要です。
下記の「対象外物質」とは、具体的にどのような物質なのでしょうか?
塗料の成分を知りたいと思い、ネットを見ていると社団法人日本塗料工業会からでている塗料標準組成表なるものを見つけました (下pdfをご参照ください)。https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/h13kohyo/hosoku-toryou2.pdf
各種塗料の標準的な組成が書かれているものと見ていると、PTRT制度の対象物質については、その含有量が記載されていますが(例えばトルエン〇%、キシレン〇%)、多くの場合、これらの含有率は数十%程度であり、組成のメインではないように見受けられます。一方で「対象外物質」が80%以上含まれているとされています。
この「対象外物質」とは、具体的にどのような物質なのでしょうか?もしご存知でしたらご教示ください。
使われるシンナーによって異なりますが、一般的には酢酸エチルやメタノールなどが該当します。
ユニットバスで髪を染めるさいに ヘヤカラーを湯船に落としてしまい消す事ができません 良い方法があれば教えて下さい
ヘアカラーの色素が、バスタブに染み込み沈着してしまったということでしょうか。
染み込んでしまった汚れを、例えば有機溶剤で落とそうとされますと、バスタブの樹脂を強く痛めつけることになってしまう上、内部に入り込んでしまった色素にはあまり効果がなく、あまりお勧めできません。
物理的に削り研磨される方法が確実かと思います。
ガラス飛散防止の為ガムテープを貼っていたのですが長い間放置していた為ガムテープを剥がそうとしたら表面だけはがれ、粘着部分が硬くガラスに張り付いたまま取れなくなってしまいました。
サンルームのガラス全体に貼ったのでかなりの量があります。
これをシンナーで落とす事はできますでしょうか?
ガムテープの粘着剤はシンナーで落とすことができます。
かなりの量がおありということで、時間もかかる作業かと思いますが、しっかり換気をなさって(換気される場合は、シンナーの気体が空気よりも重いため、扉を開けるなど足元から換気)火気にはくれぐれもお気をつけください。
一気にやらずに、何日かに分けて作業なさったほうが良いかもしれません。
保管していたシンナーが、ラッカー洗浄用か塗料希釈用か分からなくなりました。
このシンナーがもし洗浄用シンナーであった場合、塗料を希釈した時点では違いが分からないものでしょうか。
洗浄用シンナーであった場合、ウレタン2液または1液を希釈して塗装すると確実にトラブルになりますか?
ラッカーシンナーは溶解力が強いものですが、ウレタン塗料の場合硬化剤となるイソシアネートとラッカーシンナーに含まれるアルコールが反応して、ウレタン塗料が硬化不良を起こしますので、確実にトラブルになるかと思います。
塗料が乾燥した後に シンナーは塗料に残留しますか?
乾燥により、シンナーが揮発して、塗料内に残留しなくなる?
シンナーは乾いてしまえばそこにシンナーの成分は残りません。
仰る通り、乾燥によってシンナーが揮発して塗料内には残留しません。
質問No.11~
※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
塗料用シンナーとラスゴン速乾性シンナーは混ぜてもいいのでしょうか?
混ぜても有毒なガスなどが発生するということはございませんが、ご使用用途に合うかどうかは分かりません。ご容赦下さいませ。
水圧転写フィルムの定着剤としてラッカーシンナーは使用出来ますか?
フィルムのメーカーによって推奨品が異なりますので、一度メーカー様にお尋ねになることをお勧め致します。
施設の壁に油性ペンキを塗ったところ、油性ペンキの上からは水性ペンキは乗らないからやめてくれと言われました。
この場合、シンナーが揮発しペンキが完全乾燥した後にサンドペーパーで足を作ってあげれば、水性ペンキの重ね塗りも問題無いと思うのですがどうなんでしょう?
また、完全乾燥した油性ペンキの上から水性ペンキが乗らないとすると原因はなんなのでしょうか?
同じ水性塗料・同じ油性塗料でも、相性や性質が異なるため、メーカー様へご確認頂くのが確実です。
フッ素系塗料を溶解できるシンナーの種類を教えていただけないでしょうか。
例えばラッカー系塗料の溶解には「ラッカーシンナー」、ウレタン系塗料には「ウレタンシンナー」などと各種ございますが、フッ素系塗料対応のシンナーは、塗料メーカー各社様、「フッ素シンナー」として製品を販売されておりますので、そちらをご使用ください。
とある接着剤使用時の希釈用にSシンナー又はトルエンで希釈とメーカに記載がありました。
このSシンナーとは一般に知られているものでしょうか?
市販品のシンナーでいうところのどのシンナーに該当するかご存知でしょうか?
メーカー様がどのような意図でその記載をされたのかこちらでは分かりかねますので、メーカー様へ直接お問い合わせを頂きますようお願い致します。
溶剤が服に付着した場合、どのような物を使えば汚れを落とす事が出来るのでしょうか?
有機溶剤が服に付着した場合、乾いてしまえばそこに有機溶剤の成分が残ることはありませんのでご安心ください。
ご心配であれば、しっかり乾いた後で、通常と同じようにお洗濯してください。
アルミ鋳物に焼き付け溶剤塗装を行いますが、塗装前にシンナーで表面を拭き取る工程があるそうです。
アルミ鋳物には前処理としてアルマイト処理(封孔処理無し)を行っていますがアルマイトの被膜がシンナーによって浸食されることがあるのでしょうか。
使用しているシンナーの種類はわからないのですが・・・ご存知でしたらご教示ください。
アルマイト処理はアルミの表面を変質させる処理で、アルマイト処理を行った表面は変質したアルミ金属となりますので、使われるシンナーにもよりますが、一般的には侵されることはありません。
塗装用シンナ-で200と600でペンキを溶かしたのですが混ざらないのがありました。
番号の違いがあるのですか?
弊社では番手によって、乾燥性が異なったり、溶かせる塗料に違いがございますが、弊社のシンナーでは、200と600の番手はない為、他社メーカー様のシンナーかと思います。
番手の割り当て方はメーカー様によって異なりますので、メーカー様へお問い合わせいただくことをおすすめいたします。
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