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有機溶剤

2025.12.25

MEK(メチルエチルケトン)とは?概要や関連法令などを解説

MEKとは何か、化学の知識がない方にでもわかるように丁寧に解説します。

MEKとは?

MEKとは、メチルエチルケトン(Methyl Ethyl Ketone)の略で、除光液などに使われるアセトンと同じケトン類に分類される有機溶剤の一つです。2-ブタノンとも呼びます。常温では無色透明の液体で、特有の臭いがあります。水にはほとんど溶けませんが、アセトンやメタノール、トルエンなどの有機溶剤とはよく混ざり、多くの樹脂を溶解します。

化学式はC4H8Oで、CAS番号は78-93-3です。炭素(C)が4個、水素(H)が8個、酸素(O)が1個でできています。構造式は下の図の通りです。

MEKの構造式を表す図

分子中にカルボニル基とそれに隣接する活性水素を持つため化学的反応性に富みます。塩酸や水酸化ナトリウムと一緒に加熱すると、縮合して3,4-ジメチル-3-ヘキセン-2-オンや3-メチル-3-ヘプテン-5-オンを生成します。

MEKは、工業的にはブテンの硫酸水和法で得た2-ブタノールを銅亜鉛合金触媒で脱水素することで製造します。

MEKの主な特徴は以下の通りです。

項目 概要
名称 メチルエチルケトン
別称 2-ブタノン
CAS番号 78-93-3
化学式 C4H8O
引火点(℃) -4
発火点(℃) 516
沸点(℃) 79.6
比重 0.805 (20/4℃)
有機溶剤中毒予防規則(有機則) 第2種有機溶剤
特定化学物質障害予防規則(特化則) 非該当
消防法 危険物第四類第一石油類非水溶性危険等級Ⅱ
毒物及び劇物取締法(毒劇法) 劇物
悪臭防止法 非該当
船舶安全法 中引火性液体類

ケトン類とは?

ケトン類とは、分子内にカルボニル基(C=O)を持つ有機化合物です。ケトン類の有機溶剤としては、MIBKの他にアセトンやMEK(メチルエチルケトン)、DIBK(ジイソブチルケトン)などがあります。

ケトン類の有機溶剤は、油と樹脂のどちらも溶解(洗浄)できる性質のものが多く、炭化水素類によく溶けるため希釈剤としても使います。ただし、有害性が高いものが多く、有機溶剤中毒予防規則(有機則)や特定化学物質障害予防規則(特化則)で規制されているものもあります

MEKの利用

MEKは、エーテルやアルコール、ベンゼンなどの大部分の有機溶剤と混ざり、多くの樹脂を溶かすため、ニトロセルロースやビニル樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ラッカー、印刷インキなどの溶剤に使われている他、潤滑油の脱ろう剤や洗浄剤、加硫促進剤、反応中間体などとしても広く用いられています。

MEKの有害性

MEKには有害性があり、吸い込むと頭痛やめまい、悪心、嘔吐、運動失調、眼のかすみ、ふらつき、過呼吸、意識喪失などを起こし、皮膚にふれると皮膚炎になることがあります。また長期にわたるばく露(反復ばく露)で、神経系の障害を起こすおそれがあります。

MEKによる労働災害も起きていることを示すイラスト

過去にはMEKにより、下記のような労働災害も起きているため十分注意しましょう。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト 有機ガス用防毒マスク吸収缶の破過によるメチルエチルケトン中毒

また、MEKは揮発性で引火しやすいため注意が必要です。

MEKに関連する法令

MEKは下記法令に該当するため、取り扱いには注意が必要です。

  • 有機溶剤中毒予防規則(有機則)…第2種有機溶剤
  • 皮膚等障害化学物質等・皮膚吸収性有害物質
  • 消防法…危険物第四類第一石油類非水溶性液体危険等級Ⅱ
  • 毒物劇物取締法(毒劇法)…劇物
  • 船舶安全法…中引火性液体類
  • 海洋汚染防止法施行令…別表第一有害液体物質:Z類

毒劇法とMEK

毒劇法は、広く一般流通している化学物質のうち、健康被害を起こす恐れが高い物質を毒物や劇物に指定し、規制する法令です。

具体的には、営業者の登録制度や容器等への表示、販売(譲渡)の際の手続き、盗難・紛失、漏洩等防止策、運搬・廃棄時の基準などが定められており、指定物質の不適切な漏洩が起きないようにします。

毒劇法では、指定した物質を毒性が強いものから順に特定毒物、毒物、劇物に区分けしており、MEKはこのうちの劇物に指定されています。

MEKを個人的に入手しようとすると身分証明書の提示が必要になったり、対面での購入が義務付けられ、厳しく管理されています
また一般企業でも同様に、販売の際は毒劇物の販売許可証を持っていなければ販売することはできません。(ちなみにMEKは毒劇物に指定されていますが、アセトンは毒劇物ではありません)

東日本大震災の影響

2011年3月の東日本大震災では、東北地方にあったMEKの工場が被災して製造を停止したため、国内でMEKが不足、MEKを使う塗料メーカーやインキメーカー、接着剤メーカーに多大な混乱を招きました。

MEKに関する質問

※2024年11月20日更新

以前、ページのコメントに寄せられた疑問・質問とその回答をご紹介します。
(※一部編集・抜粋しております)

質問No.01~10

※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
趣味でラフティングをしております。ボートの修理(穴の補修など)にMEKが良いと聞いたのですが、毒劇物に掛かるらしく、個人では入手できませんでした。何か代わりになるものはあるでしょうか?

MEKは毒劇物に該当しますが、個人でもお店によっては購入が可能です。販売の免許を持った塗料販売店や試薬店の一部取り扱いがございます。ただしその際、身分証明書と印鑑が必要になりますのでご注意ください。
入手が難しい場合、プラモデル用の溶着剤(隙間に流し込んで接着するタイプのもの)などでも代用が可能です。

個人なのですが、MEKをどうしても入手したいのですが、入手可能でしょうか?試薬サイズなら買えますか?どこで買えますか?

MEKは毒物及び劇物取締法の劇物に当たりますので、ご購入の際は身分証明書と印鑑が必要になります。
MEKの販売には免許が必要なため、販売免許がある販売店でお買い求めください。

AESの接着にメチルエチルケトンが適しているという情報をインターネットで見たのですが、インターネット通販サイトで販売されているメチルエチルケトン96%、メチルイソブチルケトン4%のシンナーは、AES用の接着剤として使用可能でしょうか?

メチルイソブチルケトンが4%混ぜられている理由は、MEKだけだと毒劇法の対象物質になるからです。メチルエチルケトン(MEK)もメチルイソブチルケトン(MIBK)も同じケトン類なのでMEK原体との効果に大きな差はないですが、乾燥が非常に早いので、作業スピードにお気をつけください。また、火気にも注意して、しっかり換気しながら、作業するようにしてください。

洗浄剤として使用を検討しておりますが、乾燥を遅らせるために、アルコールなどを混ぜることは可能でしょうか。

混ぜても問題ありませんが、溶解力が落ちる可能性がございます。少量でお試しになって、ご調整ください。

樹脂ポリエチレンの表面に付着している鉱油(石油系炭化水素、詳細は不明)を落とせる洗剤を探していますが、MEKは適していますか?

MEKでおそらく落とせるかと思いますが、MEKは毒物劇物取締法に該当するものでございますので、使用の際はご注意ください。

MEKは原体のみが劇物対象となり、MEKが含有されている製剤は劇物対象外の認識でいますが、合っていますでしょうか?

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/130813-01-04.pdf
毒物及び劇物取締法で、メチルエチルケトンは物質名のみ記載されています。この場合、おっしゃる通り、原体と呼ばれる化学的純品のみ対象となります。

当社表面処理製造業です。加工に用いる治具を製作する過程でABS板材を貼り合わせるために、MEKを使用しております。貼り合わせる面にMEKを塗布ししばらく固定していると接着されます。
作業の方法としてそのように教わりましたが、原理が良くわかっておりません。ご教授いただければ幸いです。

ABSをMEKで貼り付けることを「溶着」と言います。2枚のABSの表面をMEKで溶かした後、MEKが乾いて、再度ABSの表面が固体になることでくっつきます。下記の記事もご覧ください。(図もあります)
溶着について

ジクロロメタンを熱した蒸気で自動車のヘッドライト(ポリカーボネート)をきれいにしているのですが、仕上げてから1~2日するとクラックが発生しています。施工後、紫外線に当てるとクラックが少なく仕上げる事が出来るのですが専門家の観点からジクロロメタンの乾燥?硬化に良い方法などありますでしょうか?
また、クラックなどの予防などありますでしょうか?

弊社では、ジクロロメタンを使いヘッドライトをきれいにしたことがないので何とも申し上げられないのですが、樹脂の性質によると思いますので、樹脂メーカーへお問い合わせください。

ネイリストです。ネイルの商材でMEK配合の拭き取り液を使用していたら皮膚に異常が出たので残りを破棄したいのですが、どのように破棄すれば安全で環境にも悪くないのか知りたいです

弊社ではその製品のことが分からないため、お答えすることができません。正しい廃棄方法はメーカーにお問い合わせください。

錆びているステンレス(SUS304)をMEKで洗浄すると、付着していた錆びを除去できると聞きました。錆びを除去するメカニズムを知りたいです。

そのような知見はございません。根拠も弊社ではよくわかりません。おそらく何かの誤情報ではないでしょうか。

 

質問No.11~

※「▼」をクリックすると質問が表示されます。
メチルエチルケトンの廃棄について、危険物で毒性ありとの事で、安全に廃棄したいのですがどんな方法となりますでしょうか。掃除棚を整理して、メチルエチルケトンとラベルのある、和光純薬の茶色のビンが出てきました。残100mlほどです。少なくとも10年以上前のもので今後使用予定もありません。
家に持ち込んだのは、亡くなった父親かと思います。

管轄の自治体によって推奨される廃棄方法が異なるため、お住まいの地域の自治体様にお問い合わせください。
また、MEKは毒物及び劇物取締法の劇物に該当致しますので、管轄している保健所にもご相談ください。

MEKの濃度による劇薬指定と、取締対象について質問です。
エンジンの内部洗浄の為に購入致しました。色んな通販サイトを見ていると、濃度96%だと劇薬指定?から外れて免許証等の確認無しで買える様でしたので購入に至りました。
実際に商品が届いてパッケージを確認したところ、99%以上と書かれていました。
これって不正に販売されていると思うのですが見解を教えて欲しいと思い、質問いたしました。

MEKは毒物及び劇物指定令において、物質名のみが記されています。
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/doku/situmon/qa.pdf
上記厚労省資料の「問2-3」にもあります通り、物質名のみが記載されている場合は原体が取り締まり対象になります。「問2-3」の原体の定義に基づいて判断を行いますが、判断がつかない場合は、厚生労働省や保健所にご相談下さい。

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