準水系洗浄剤について

準水系洗浄剤とは

洗浄剤を、主成分から分類すると

  • 水系洗浄剤
  • 溶剤系洗浄剤

に分類されますが、

準水系洗浄剤はその中間にあたる洗浄剤です。

 

準水系洗浄剤はもともとアメリカで紹介され、日本でも注目されるようになった洗浄方法です。

アメリカでは水リンスを使用する溶剤洗浄として紹介されましたが、

日本では準水系の洗浄剤が非可燃物として消防法に沿うため多く紹介されました。

 

 

よって、正確には準水系溶剤は大きく下の2種類のグループに分類されます。

 

  • 可燃物型準水系洗浄剤

水溶性の溶剤(アルコール系・グリコールエーテル系・ピロリドン系など)を主成分とするものと、

非水溶性の溶剤(炭化水素系)に界面活性剤などを配合したものです。

そのため、水洗いが可能です。

 

  • 非可燃物型準水系洗浄剤

少量の水を配合することにより非可燃物にしたものです。

主成分には、アルコール系・グリコールエーテル系・ピロリドン系の溶剤が使われているものが多くなっています。

 

前述したとおり、日本で準水系というと、非可燃物型のタイプのものを指すのが一般的です。

 

 

準水系洗浄剤の種類

非可燃物型の準水系洗浄剤を、その成分から分類すると下のようになります。

 

◎グリコールエーテル型

非可燃物型準水系洗浄剤としては最も一般的な洗浄剤で、

グリコールエーテル類の溶剤と界面活性剤と水が配合されています。

このタイプの洗浄剤は、分子の中にエーテル基や水酸基といった、極性をもつ基をもっているので

一般的な油だけでなく、フラックスなどの極性汚れと呼ばれるものにも溶解力が高いのが特徴です。

 

◎水溶性溶剤型

アルコール類やピロリドン類などの、水との相溶性を持っている有機溶剤を使用するタイプで、このタイプには水のみを混ぜたものと、水と界面活性剤を混ぜたものがあります。

さらにこれらの溶剤に石油系の溶剤を混ぜたタイプもあります。

 

 

◎その他

非水溶性の溶剤に界面活性剤をまぜて、水を混ぜられるようにし、非可燃物とした洗浄剤です。

主に、鉱物油やグリース、ニスなどを除去する際に使用されます。

 

 

準水系洗浄剤の特徴

準水系洗浄剤の特徴としては以下の通りです。

メリット

  • 水溶性・油汚れの両方の汚れに対応できる
  • 一般的には中性タイプが多く、多くの金属に対応できる
  • 洗浄液中に水が配合されているので、超音波を併用すると洗浄効果が増大する(溶剤よりも水の方が泡などの邪魔な物質が少なくなりアタック力が大きくなる)
  • 消防法の規制から外れる
  • 引火の危険性が小さい

 

デメリット

  • 排水処理が必要で、排水コストが高い
  • 洗浄工程が長くなりがち
  • 金属は、錆に対する考慮が必要
  • 乾燥性が遅い
  • 洗浄液の再生が困難なものが多い
  • 水分管理が必要で、洗浄液のメンテナンスが難しい
  • 表面張力がやや高いのでねじ穴などの細かい孔の洗浄ができないことがある

 

洗浄工程

一般的な準水系洗浄工程

洗浄⇒洗浄液の回収⇒粗リンス⇒仕上リンス⇒乾燥

この洗浄工程の特徴は洗浄液の回収工程がある点です。

途中で油分分離器などを併用して回収するなど、排水の負荷を軽減する工夫が必要です。

 

洗浄工程

洗浄温度としては40~80℃程度で、浸漬・揺動・液流動・超音波などの洗浄方法を使います。

洗浄剤の選び方は、配合溶剤と汚れの相性が基準となります。

メリットのところでも書きましたが、超音波洗浄が一番効果的です。

 

洗浄液の回収

準水系洗浄剤は溶剤を多く含むので、リンス工程に洗浄液が大量に持ち込まれると、リンス水を通常の排水処理設備で処理するには負荷が大きくなりすぎてしまいます。

そのため、第一リンス工程を回収工程として、油汚れや溶剤分を分離して回収します。この槽の液は定期的に処理をして、清浄を管理します。

 

リンス

精密洗浄の場合、

工業用用水でリンスを、純水で仕上げリンスを行います。

 

乾燥

乾燥工程では、複雑な形状のものも多いため、熱風乾燥などの場合は風の当て方など工夫が必要です。

また、遠心乾燥・真空乾燥などの方法を利用するのも効果的です。

 

 

使用上の注意

金属への影響

準水系洗浄剤は中性か、イオンを含まないため、非鉄金属に対しても使用できるものがほとんどです。

ただ、リンス工程で水を使用する場合は、錆が発生する可能性があるので注意が必要です。

錆の発生が厳禁の場合、洗浄液やリンス水に防錆剤を配合するなどの配慮で解決できます。

 

水分管理

準水系洗浄剤では水分量が多くなると洗浄性が低下したり、洗浄液がカビたりするので、水分を一定以下に抑える必要があります。

一方で、水分が一定量以下になると引火点を持つ可燃物となり、引火する危険や、消防法上で規制を受けることになりますので、水分量を一定範囲内で管理なければなりません。

水分濃度を管理する方法で、汚れの成分の影響を受けにくい方法の一つとして、『近赤外線分光分析法』を応用させた装置があります。

 

エマルジョン洗浄剤と新しい準水系洗浄剤の活用法

エマルジョン洗浄剤

エマルジョン系洗浄剤は準水系洗浄剤と同様、溶剤と水を混ぜた洗浄剤です。

溶剤系の洗浄剤と水系の洗浄剤の中間に位置しているという点では類似していますが、含まれる水の量が異なります。

 

一般的に、水溶性の溶剤に水を加えたものを準水系洗浄剤、

水に溶けない溶剤と水を界面活性剤を使って、エマルジョン状態(乳化状態)にしたものをエマルジョン系洗浄剤と言います。

 

最近では、水分管理が必要ないものや、ノンリンス型のエマルジョン洗浄剤も開発されています。

 

 

新しい準水系洗浄剤の活用法

界面活性剤を配合しないで、水溶性のグリコールエーテル、ピロリドン類などの溶剤に水を混ぜるタイプの洗浄剤では、

沸点の低い溶剤をチョイスし、真空乾燥などの方法を利用することで直接乾燥が可能になります。

 

直接乾燥することで、洗浄工程が短くなったり、排水処理コストが削減できます。

気を付けなければいけないのは、洗浄剤の清浄度を維持するため、汚れを常に除去しなければいけないということです。

 

近年この、リンス工程を省略したタイプの洗浄剤が新たな水系洗浄剤として注目を集めています。

 

 

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