剥離について①

剥離とは

金属・ガラス・プラスチックなどの表面に付着した不要な樹脂や塗料・めっきなどを剥がすことを言います。剥がすことで部材を再利用することができるため、最近は塗料に使う冶具などを剥離し、繰り返し使う現場も増えているようです。

剥離と一言で言っても、剥がし方には大きく3種類あります。

  1. 化学的方法・・・溶剤系や水溶液系の剥離剤を使用する方法
  2. 物理的方法・・・ヘラなどで削ぎ落としたり、砂などを吹き付け研磨する方法
  3. 熱的方法 ・・・500℃前後の熱で加熱し、被膜を熱分解する方法

 

 

物理的方法による剥離のメカニズム

順番は変わりますが、物理的方法からご説明します。

使用する道具は様々ですが、上にも書いたように、ヘラや、電動サンダーと呼ばれるヤスリを装着したヘッドが電動で振動し研磨してくれる機械、あるいはサンドブラストと呼ばれる鉱物や金属の細かい粒子を高速で吹き付け塗膜を削り取るもの、また、ウォータージェットと呼ばれる超高圧の水流で塗膜を剥離するものがあります。歯医者さんで歯石を取るのと似ています。

物理的方法によるメリット

  • 機材とそれを扱う人員を増やせば増やすだけ、剥離のスピードを上げることができる
  • ウォータージェット法であれば臭いも少なく剥離することができる

物理的方法によるデメリット

  • 工具による剥離やサンドブラストでは、塗料を細かく破壊するので粉じんが舞いやすい
  • マシン自体の音や研磨音が騒音のもととなりやすい

 

 

熱的方法による剥離のメカニズム

焼いたり加熱したりして塗膜を焼き尽くしたり、熱で膨張させたりして、浮き上がったところをワイヤーブラシなどで擦り取ります。

 

熱的方法によるメリット

  • 機材とそれを扱う人員を増やせば増やすだけ、剥離のスピードを上げることができる

熱的方法によるデメリット

  • 部材への影響が少なからず発生してしまう
  • 燃焼時の臭いが気になる場合が多い

 

 

化学的方法による剥離のメカニズム

剥離剤に浸すと、被膜表面から剥離剤が徐々に内部に浸透し、被膜と素地間の付着力を破壊することによって被膜を剥がします。この時、剥がれ方は下記の2タイプに分かれます。

  • 膨潤剥離:被膜が膨潤し、軟化するように剥離するタイプ
  • 溶解剥離:被膜が溶けるように剥離するタイプ

 

化学的方法によるメリット

  • 浸すだけなので労力が少ない
  • 部材への影響が少ない

化学的方法によるデメリット

  • 薬品独特の臭いを気になる場合が多い

 

 

 

シェアしていただけるとうれしいです

この記事へのコメント

  • くまくま より:

    解体業をしています。前に剥離剤を使ったことがあります。

    剥離剤は季節によって効き目が変わると聞いたことがありますが本当ですか?

    変わる場合は、どのような対策をすればよいですか?

    • sankyo管理者 より:

      >>くまくま様

      コメントありがとうございます。
      剥離剤によっては、暑さには強いが寒さには弱いもの、寒さには強いが暑さには弱いものなど、
      それぞれ個性があります。
      どのような製品か具体的にわかりますと、弊社でも知見があるかもしれません。
      詳細は是非弊社までお問い合わせいただけますと幸いでございます。
      よろしくお願いいたします。

  • 大場 尚文 より:

    ガラス・テーブルに金属の足が4本接着されている。このような密着状態ではどのようにして剥離させますか?

    • sankyo管理者 より:

      >>大場尚文様

      コメントありがとうございます。
      密着し硬化した接着剤は、通常浸漬して剥離作業を行います。
      溶剤はガラスや金属を透過しませんので、かなりお時間がかかります。
      テーブルを浸漬させる+長時間かかる、ということで一般家庭で行うにはあまり現実的ではないのが現状です。

コメントお待ちしています

メールアドレスが公開されることはありません。* が付いている欄は必須項目です

関連記事

ページの
先頭へ