防爆構造とは?
防爆構造とは、文字通り、「爆発を防ぐ」構造のことです。爆発を防ぐためには、まず、爆発が起こる仕組みについて知る必要があります。
爆発の仕組み
可燃性物質による爆発の仕組み
可燃性物質とは、火をつけると燃えるもののことです。可燃物が急速に燃えると、発生した熱によって空気など周囲の気体の体積が急激に膨張し、圧力が上昇します。その上昇した圧力が一気に開放されることで爆発が起こります。
身近なものでは、以下のようなものが挙げられます。
- ガス
- スプレー
- 小麦粉やでんぷん
- 砂糖
上に挙げたものはもちろんごく一部ですが、どうして小麦粉や砂糖でも爆発が起こるのでしょう。
たとえば、狭い空間で細かな粒となって漂っている小麦粉に火が付くと、周囲の小麦粉の粒にも一気に燃え広がり、空気を急激に膨張させ、爆発となります。この現象は粉じん爆発と呼ばれています。
防爆の必要性
可燃性ガスや可燃性液体の蒸気などが空気と混ざり合っている環境下で、電気機器を使うと、電気機器から生じる電気火花で引火し、爆発する可能性があります。そのため、日本では労働安全衛生法により、爆発の可能性のある危険な場所では、可燃性ガスや可燃性の蒸気と着火源を共存させない工夫(=防爆構造)の施された電子機器の使用を義務付けています。
防爆構造はどんなところで必要?(可燃性ガス・可燃性液体の場合)
ガスやスプレーなどの可燃性ガスがあるからといって、一般家庭で電気機器を防爆構造にする必要はありません。
防爆構造の電子機器を設置する義務があるのは、下記の条件にあてはまる工場や事業所などです。
①引火点が40℃未満の危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合
②引火点が40℃以上の危険物であっても、引火点以上の状態で貯蔵・取扱う場合
また、上記の条件にあてはまる工場・事業所の内部は、更に危険性の度合いによって3段階に分けられています。
特別危険箇所
爆発する可能性が常に存在する場所、長時間存在する場所です。
具体的には、危険な物質が入った容器、またはタンクなどの内部、及び開放容器の液面付近などがこれに該当します。
第一類危険箇所
爆発のおそれがある場所はこの分類にあてはまります。
具体的には、ガスなどが集積して、爆発の可能性がある場所(修繕・保守や漏えいなどの際を含む)のことです。
第二類危険箇所
機器の故障などによって爆発する可能性がある場所です。
具体的には、以下の3ケースです。
①危険な物質が収まっている容器や設備が破損したり、誤操作によりそれらが漏れ出て爆発するおそれのある場所
②通常は換気装置によってガスが溜まらないようになっているが、換気装置が故障した場合、ガスが集積し、爆発するおそれのある場所
③1種場所の周辺、または隣接する室内でガスが侵入し、爆発するおそれのある場所
引火点のあるものを扱う場合、まずその引火点が何度で、扱う際の温度は何度なのか把握し、防爆構造が必要なのか否かをしっかり確認してください。
また、防爆構造が必要な場合、どの場所がどの危険レベルに該当するのかを把握し、適切な防爆設備を選択してください。