アスベスト(石綿)の事前調査方法について

事前調査の必要性

アスベスト(石綿)は、肺がんや中皮腫など重度の健康障害を及ぼす有害性を有する物質であるため、日本ではこれまで段階的に規制が強化され、現在(2012年以降)ではアスベストが重量の0.1%を超えて含まれる製品すべての製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されています。

 

それでも、既に現存する建築物にはアスベストを含有した建材が存在しており、今後、改築・解体工事の際に建材から飛散し作業者に深刻な健康障害を引き起こすことが懸念されています。

そのため、工事を実施する時は、建材のアスベスト含有の有無を事前に調査することが義務付けられています。

なお、事前調査は届出の前に受注者が行い、発注者に説明する義務があります。また発注者は、事前調査結果の書面を3年間保存することが義務付けられています。

 

 

調査の概要

石綿障害予防規則(石綿則)第3条第1項では、アスベスト(石綿)による労働者の健康障害を防止するため、事業者は、建築物・工作物の解体・破砕等の作業を行うときは予め、アスベストを使用した物がないかを設計資料などにより調査を行うよう定められています。これを一次調査と言います。

 

さらに、石綿則第3条第2項には、同条第1項の調査を行ったにもかかわらず、アスベストを使用した物の有無が明確にならない時は、事業者はアスベストを含有した物がないかを分析により調査するよう定められています。これを二次調査と言います。

 

分析については、平成20年2月6日付けの厚生労働省の通達により、現在ではアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト、トレモライトという6種類のアスベストについて分析が行われています。

 

 

建築用仕上塗材の調査方法

(※今回は、建築用仕上塗材の事前調査の手順をご紹介いたします。)

建築用仕上塗材の事前調査は、目視、設計資料、ヒアリング(一次調査)などや現地調査(二次調査)の結果を、日本建築仕上材工業会が公表している「アスベスト含有仕上塗材・下地調整塗材に関するアンケート調査結果」という、過去に重量の0.1%を超えてアスベストを含有して製造された仕上塗材の種類、販売期間およびアスベスト含有率が確認できる表と照合することで、その仕上塗材がアスベストを含有しているか否かを確認します。

 

この段階で、アスベストの有無が判断できる場合は、仕上塗材を採取して分析を行う必要はありません。

しかし、設計資料の多くは特記仕様書で仕上塗材の一般名が記載され、複数社の製品を選択できるようになっているため、実際にどの製品が使用されたかを特定することは難しい場合があります。その場合は、仕上塗材を部分的に採取して、分析を行うことになります。試料の採取は粉じんが生じないように仕上塗材を湿潤させてから、スクレーパやカッターナイフなどで少しずつ剥離して採取します。

なお、【厚生労働省 アスベスト分析マニュアル[1.11版]】によれば、分析以外の事前調査の実施者には、①建築物石綿含有建材調査者、②石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等の除去等の作業の経験を有する者、③日本アスベスト調査診断協会に登録された者、が行うことが望ましいとあります。

また、採取した試料を分析する際には、「作業環境測定士」の資格を持った技術者が在籍している、「作業環境測定機関」の登録を受けた測定機関に依頼しなければなりません。分析は、日本工業規格(JIS)で定められた方法によって行われ、平成28年3月22日よりJIS A 1481-1~1481-4の4つの方法が制定されています。

 

より詳細な内容や他のアスベスト含有製品について知りたい場合は【厚生労働省 アスベスト分析マニュアル[1.11版]】および【厚労省 石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル[2.10版]】をご覧下さい。

 

 

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