塗装について①

塗装とは

 塗装は、自動車、家電製品、家具、建物、橋梁、船舶など私たちの生活に関わりのあるあらゆるものに施され、素材を保護し、見栄えを美しくする上で無くてはならないものです。
塗装とは、単純に塗料を塗り広げるだけの操作ではなく、出来上がった塗膜が被塗装物に十分に付着し、期待される機能を果たす必要があります。たとえ塗料が良好なものであっても、塗装工程に問題があると、良い仕上がりを得ることができません。
そのためには、被塗装物の形状や作業性、塗料の粘度や乾燥性を考慮し、適切な塗装方法を採用することが重要です。

 

 

塗装の目的

保護

 鉄やアルミなどの金属やコンクリート、プラスチック、木材などは、紫外線や雨風によって
錆が発生したり、腐食されもろくなっていき、あるいは摩擦や熱冷により損傷を受けます。
塗料は薄い膜を作ることによって、これらから物を保護します。

 

美装効果

 色彩や光沢、模様を与えることによって、外観を整え物を美しくみせ世の中を彩っています。
ビルや住宅から飛行機、電車、自動車など街で当たり前にみかけるものの多くが、また家電や
家具など私たちの生活必需品に至るまで、美観を与え生活空間を豊かにしてくれています。

 

特別な効用

 塗料に防カビ、防虫、防腐、結露防止などの機能を与えたり、蛍光や光導電機能を付加させ、
物の価値を高めています。

 

 

塗装されているもの

・自動車、電車、オートバイ、自転車、飛行機、船
・橋、ビルや住居等の建築物、神社仏閣、道路標識、看板
・冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、掃除機、パソコン
・家具事、ロッカー
・楽器

 

 

塗装の種類

スプレー塗り

 塗料を霧にして塗装する噴霧方法はエア、エアレス、静電スプレー方式に大別され、塗着効率は エア < エアレス < 静電スプレー と向上します。液体を高速の空気流と衝突させる装置が「エアスプレー方式」です。液体である塗料とエアコンプレッサ(空気圧縮機)で供給される加圧空気とが混合し、塗料に対する空気の容量比が大きいほど霧の粒子は小さくなり、仕上がり外観は良くなります。「エアレススプレー方式」は、塗料自体に高圧力をかけるので、高粘度の塗料を吹き付けることができます。弾丸のように噴出された塗料粒子が外部の空気と衝突し、霧化され、被塗装物に付着します。エアスプレーに比べて飛散する粒子が少なく、厚膜塗装ができるので、長期間の防錆・防腐食が期待できます。塗装のためにハケ塗りする女性のイラスト

 

ハケ塗り/ローラー塗り

 「ハケ塗り」は古くから用いられている塗装方法で、乾燥の遅い塗料はハケ塗りに適します。塗料は塗り広げられることによって、隙間への入り込みや平坦化(レベリング)が良好になります。基本の工法は、塗料を含ませ、塗付けし、ならし、むら切りの手順で行います。「ローラー塗り」はハケと工具が異なるだけで、塗り方の基本は一緒です。一動作でハケよりも幅広く塗れるので、ならしの操作が節約できます。

 

高速塗装(ロールコーター/カーテンフローコーター)

 高速塗装は均一な厚みの液膜に加工する塗装方式です。「ロール方式」は塗料を巻き上げ均一液膜に加工し、ロールにて塗料が塗られる塗装方式です。「カーテンフロー方式」は一定速度で動くコンベアに乗せた被塗装物がカーテン液膜を通過すると、塗料が塗られる塗装方式です。

特徴として、作業効率が良く、合板、スレート板など平版の連続塗装に適します。欠点としては、薄く塗れない、曲線を有する被塗装物には塗れないことです。

 

浸漬塗り

 浸漬して塗る方法は、塗料槽に被塗装物をどっぷり漬け、引き上げて乾燥させる「ディッピング方式」と、塗料を押し込み余分の塗料をゴム板やシール材でしごき取る「しごき塗り」とに大別されます。しごき塗りは何回も薄く塗るという古来からの塗装の技法であり、鉛筆や電線など棒状の物を均一に塗るのに適しています。ただし、塗付量が少なく、膜厚不足になるので塗装回数が増えるという欠点があります。

 

 ◆電着塗装

 電気化学をベースとする塗装方法です。電気が流れるように、水の中に電解質と水性塗料をいれ、白金電極と導電性のある被塗装物を直流電源につなぎます。通電し電気を帯びた塗料粒子が電極となっている被塗装物付近で電気化学的に反応が起こり、段階的に塗料が析出し付着し全面的に塗装されます。通電を
止め、水洗して余分な塗料を取り除き、乾燥させ焼き付けることによって多孔質な塗膜は連続相になり、防せい力を発揮します。
電着塗装は被塗装物の隅々に移行でき、塗膜の膜厚や塗装管理しやすいことや、溶剤を殆ど使用しないため、環境にも優しいことが特徴です。透明性、耐薬品性、耐候性にも優れています。塗装被膜が平滑・均一につき品質や生産性に優れるため、
大量生産されるような商品にて用いられます。ただし設備やコストが高いため、小ロットではコストが高くなったり、色換えが自由にできないなどのデメリットがあります。

 

静電塗装

 静電スプレー方式のことで、塗装効率を高めた工法で工場における連続塗装法として用いられています。静電気による電界を設けて⊕に帯電させた被塗装物に、⊖に帯電させた塗料を電気的に被塗装物に吸着させる方法です。
コロナピン方式、ベル型方式(円盤/円筒カップ回転方式)、は霧化方式の違いによって工法が異なります。さらに紛体塗料を使った粉体静電方式があります。「コロナピン方式」は、エア、エアレススプレーで霧化した噴霧粒子にて塗着させます。「ベル型方式」は、塗料の霧化にエアを使用せず、カップ内で高速回転させ塗料が薄く引き延ばされ縁から放出されることによって塗料を霧化させます。車の塗装ラインで実用化されているのが、この方式です。「紛体静電方式」とは、紛体粒子が空気と混合することで流動し、塗料粒子は塗装機内部の円筒壁面に何回も衝突、摩擦しながら帯電します。付着させた後、高温で融解し固定させます。
静電塗装は、対象物質に効率良く塗着でき、回り込んだ部分への塗装も行うことができます。ただ、高電圧を利用するため、感電事故や火災の発生には十分に気を付ける必要があります。

 

 

冶具とは

 部品を固定、通電、支持するものを冶具やラックと呼びます。加工を容易にし、仕上がり寸法が統一されるので、作業能率を高め、大量生産時にはよく使われています。冶具の掛け方、場所などは製品の品質に大きく影響を及ぼします。

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