HCFC-225とは
突然アルファベットと数字で構成された名前の物質が登場しましたが、
こちらは別名、「ジクロロペンタフルオロプロパン」というもので、
水素と塩素とフッ素と炭素からなる物質です。
H | C | F | C |
ハイドロ | クロロ | フルオロ | カーボン |
(水素) | (塩素) | (フッ素) | (炭素) |
略してHCFCというわけです。
そして「225」というのは「冷媒番号」という世界共通の番号で、
冷媒は多くの種類があるため、番号をみただけで組成がわかるようになっている番号です。
冷却番号の数字の意味
- 千の位:不飽和炭化水素に対する不飽和炭素結合の数
- 百の位:炭素原子の数を-1した数字
- 十の位:水素原子の数を+1した数字
- 一の位:フッ素原子の数
- 添え字:構造異性体や混合物における組成をくべつするためのもの
フルオロカーボンについて
フルオロカーボンと言うとあまり馴染みがないかもしれませんが、日本では「フロン」(または「ハロン」)という呼び名で呼ばれることが多いものです。
前の節と見比べていただくと分かりますが、フルオロカーボンは炭素とフッ素の化合物のことで、HCFC-225も「フルオロカーボン(フロン)」の一種なのです。
フロンは人間が作り出した人工の物質で、液体から気体に変化するときに、周りから熱を奪って温度を下げる働きがあります。
液体から気体に変化しても、また圧をかけて液体に戻せば、フロンを再利用することができ、
このように熱を下げる役目を繰り返し果たせる物質を冷媒といいます。
フロンはその冷媒機能により、冷蔵庫や冷房の内部で使用されていますが、
オゾン層を破壊する物質であることが分かり、近年は世界中で製造や使用するのに制限が掛けられています。
フロンは地上では分解しにくく、その中でも一部のフロンはオゾン層のある成層圏まで到達してしまいます。
成層圏まで達したフロンは、強い紫外線によって分解され塩素を放出し、その塩素が、オゾン層を形成する酸素の原子と反応してしまい、オゾン層が破壊されてしまうのです。
HCFC-225もフロンの一種だと書きましたが、
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書で、2020年までにHCFCをすべて廃止にすることが規定されています。
HCFC-225の用途
HCFC-225は毒性が少なく、不燃性で、化学的に安定であるため、幅広い分野の洗浄に用いられています。
身近なところではドライクリーニングの洗浄剤です。
HCFC-225は油を溶かし出す性質をもつため、洋服の油を落とすことができます。
加えて沸点が低く、低温で早く乾燥することからも、ドライクリーニングには最適だったのです。
不燃性の物質であるというところも、他の石油系洗浄剤とは違って火災の心配がないと重宝されてきました。
ドライクリーニング以外にも、工業用の洗浄剤としても使用されています。
HCFC-225は、金属やプラスチックなどを溶かしたりしてしまうことはほとんどありません。
更に、表面張力が小さく粘度も低いため、細かい部分に浸透しやすく、精密部品の洗浄に使用されています。
また、はんだ付けで使用するフラックスの洗浄にも使われています。
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代替化の流れ
便利で様々なものに使われていたHCFC-225ですが、前述の通り2020年までの全廃が決まっています。
既に切り替えられた所も多いと思いますが、まだお使いの際は一度馴染みの洗浄剤メーカーに問い合わせるのがいいでしょう。
HCFC-225の基本情報はこちら
三協化学製 HCFC-225代替製品はこちら
ファインゾルWシリーズ
HCFC225を洗浄で使用しておりました。
商社に提案され、HFC365というものに切り替えましたが、今一洗浄力が良くありません。
他のものも同時並行で検討しておりましたが、どれもキロ当たり4000円、5000円と非常に高く、採用できませんでした。
同じフッ素なのになぜ洗浄力、価格がこんなに違うのでしょうか?