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化学規制
2021.08.05
有機溶剤作業主任者とは?対象物質や職務内容などをわかりやすく解説
有機溶剤作業主任者は、屋内作業場やタンク内など、一定の場所で有機則対象の有機溶剤等を取り扱う場合に、選任が必要となる作業主任者です。職務の具体的な内容、資格取得の方法や難易度、試験にかかる費用などをわかりやすく解説します。
目次
有機溶剤とは?
有機溶剤とは、本来は他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称です。代表的な有機溶剤としては、ネイルを落とすための除光液の主成分であるアセトンや、塗料をうすめるために使うシンナーなどがありますが、工業用に使われているものだけで500種以上あります。
ただ、有機溶剤は、吸い込んだり、触れたりして体内に取り込まれると健康への悪影響が出るものも多いため、適切な管理が欠かせません。その管理に責任を持つのが有機溶剤作業主任者です。
有機溶剤については、別記事「有機溶剤とは?わかりやすく解説します」で詳しく解説しておりますので興味がある方は、ぜひご覧ください。
有機溶剤作業主任者とは?
有機溶剤作業主任者は、労働安全衛生法に基づく国家資格の一つです。有機溶剤のうち、有機溶剤中毒予防規則(有機則)と特定化学物質障害予防規則(特化則)に該当する有機溶剤を製造し、または取り扱う作業場では、有機溶剤作業主任者の資格を持つ者を選任することが義務付けられています。
有機溶剤作業主任者になるには、有機溶剤作業主任者技能講習を受講し、修了時の試験に合格する必要があります。
有機溶剤作業主任者技能講習とは
有機溶剤作業主任者技能講習は、各都道府県にある労働基準協会などが定期的に開催している技能講習です。18歳以上の人であれば誰でも受講することができます。
講習にかかる時間は、12時間です(修了試験は除く)。通常、2日間にわたって開講されることが多く、内訳は以下の通りです。なお、すべて座学であり、実技はありません。最後の修了試験に合格すれば、有機溶剤作業主任者になることができます。
- 健康障害およびその予防措置に関する知識(4時間)
- 作業環境の改善方法に関する知識(4時間)
- 保護具に関する知識(2時間)
- 関係法令(2時間)
取得の難易度
技能講習では、専門的な内容を扱いますが、講習をしっかりと受講すれば取得は難しくありません。
技能講習は「落とすための試験」ではなく、知識が身についたかを確かめるための試験なので、大学入試のように難しいものではなく、合格率は90%以上とされています。
実施機関により講習の進め方は異なる場合がありますが、講習の際に、テストに出る部分や、問題の傾向、重要な部分を強調して解説されるので、その点をしっかり押さえていればある程度の点数は取れます。
取得費用
技能講習の費用は、実施する登録教習機関により異なりますが、受講料とテキスト代を合わせて1~2万円ほどで実施されることが多いです。詳しくは、受講する機関に確認してください。
対象となる有機溶剤
有機溶剤作業主任者を選任しなければならない有機溶剤をまとめました。まずは、特別有機溶剤です。
〈特別有機溶剤等:発がん性のおそれが指摘される物で有機溶剤と同様に作用し、蒸気による中毒を発生させるおそれのある物質。有機溶剤中毒予防規則(有機則)を準用する〉
※「▼」をクリックすると表を展開します。
| 物質名 | 分類 | 含有濃度 | 管理濃度 |
| エチルベンゼン(フェニルエタン) | 特別管理物質 | 1%超 | 20ppm |
| クロロホルム(トリクロロメタン) | 1%超 | 3ppm | |
| 四塩化炭素(テトラクロロメタン) | 1%超 | 5ppm | |
| 1,4―ジオキサン(ジエチレンジオキサイト) | 1%超 | 10ppm | |
| 1,2―ジクロロエタン(二塩化エチレン) | 1%超 | 10ppm | |
| 1,2―ジクロロプロパン | 1%超 | 1ppm | |
| ジクロロメタン(二塩化メチレン) | 1%超 | 50ppm | |
| スチレン | 1%超 | 20ppm | |
| 1,1,2,2―テトラクロロエタン (四塩化アセチレン) |
1%超 | 1ppm | |
| テトラクロロエチレン(パークロルエチレン) | 1%超 | 25ppm | |
| トリクロロエチレン(三塩化エチレン) | 1%超 | 10ppm | |
| メチルイソブチルケトン(MIBK) | 1%超 | 20ppm |
※クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ジクロロエタン、1,1,2,2,-テトラクロロエタン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、スチレンの10物質は、2014年に有機則から移行になったものです。
続いて有機則です。
有機則に該当する有機溶剤の一覧
※「▼」をクリックすると表を展開します。
| 区分 | 物質名 |
| 第1種有機溶剤 (2種類) |
1,2-ジクロルエチレン(二塩化アセチレン) 二硫化炭素 |
| 第2種有機溶剤 (35種類) |
アセトン(ジメチルケトン) イソブチルアルコール(イソブタノール) イソプロピルアルコール(イソプロパノール) イソペンチルアルコール(イソアミルアルコール) エチルエーテル(ジエチルエーテル) エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブ) エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(セロソルブアセテート) エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ) エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ) オルト-ジクロルベンゼン キシレン(キシロール) クレゾール クロルベンゼン 酢酸イソブチル 酢酸イソプロピル(イソプロピルアセテート) 酢酸イソペンチル(酢酸イソアミル) 酢酸エチル(酢エチ) 酢酸ノルマル-ブチル 酢酸ノルマル-プロピル(NPAC) 酢酸ノルマル-ペンチル(酢酸ノルマル-アミル) 酢酸メチル シクロヘキサノール シクロヘキサノン(アノン) N,N-ジメチルホルムアミド(DMF) テトラヒドロフラン(THF) 1,1,1-トリクロルエタン トルエン(トロール) ノルマルヘキサン(N-ヘキサン) 1-ブタノール 2-ブタノール メタノール(メチルアルコール) メチルエチルケトン(MEK) メチルシクロヘキサノール メチルシクロヘキサノン メチル-ノルマル-ブチルケトン |
|
第3種有機溶剤 |
ガソリン コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む) 石油エーテル 石油ナフサ 石油ベンジン テレビン油 ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む) |
有機溶剤作業主任者の職務
有機溶剤作業主任者がしなければならない職務は次の4項目です。
- 作業に従事する労働者の身体が有機溶剤によって汚染され、また有機溶剤の蒸気を吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。
- 安全な作業環境状態を維持するための大切な設備である局所排気装置、プッシュ・プル型換気装置、全体換気装置を1月を超えない期間ごとに点検すること。
- 有機溶剤が作業者の身体に侵入することを防ぐ保護具を作業者が正しく使っているか、その状況を監視すること。
- 作業者が危険の特に大きいタンク内で作業する場合に、有機溶剤がタンク内に残っていたり、流れ込んだりしないための措置その他の必要な措置が講じられていることを確認すること。
作業主任者は、作業環境管理、作業管理、健康管理の労働衛生3管理と作業者に対する労働衛生教育を確実に実行することも重要です。
有機則や特化則に非該当の有機溶剤を使う場合

しかし、有機則・特化則に該当しないからといって、有害性がまったくないわけではありません。安全に取り扱うためには、有機溶剤作業主任者が持つ知識が大いに役立ちます。
三協化学では、有機則・特化則への該当性に配慮した洗浄剤や溶剤製品も取り扱っております。現在使用している溶剤の代替をご検討の際は、用途や作業環境に応じてご提案いたします。
詳しくは「有機溶剤の代替品 有機則・特化則非該当 環境対応型製品一覧」をご覧ください。
まとめ
有機溶剤作業主任者は、有機溶剤を取り扱う現場で労働者の健康障害を防ぐために重要な役割を担う資格です。作業方法の決定や換気装置の点検、保護具の使用状況の確認など、職務は現場の安全管理に直結しています。
資格自体は、技能講習を受講し、修了試験に合格すれば取得できるため、難易度はそれほど高くありません。しかし、取得後は有機溶剤の危険性を正しく理解し、作業環境や保護具の管理を継続的に行うことが大切です。
また、有機則や特化則に該当しない有機溶剤を選ぶことで、作業主任者の選任義務や作業管理の負担を軽減できる場合があります。安全性と作業性を両立するためにも、使用している溶剤の法規制を確認し、必要に応じて代替品の検討を進めましょう。
有機溶剤作業主任者についての疑問・質問は、下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。
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