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2025.12.28
剥離剤とは?工業用、建築用の違いなどをわかりやすく解説
剥離剤について、工業用と建築用の違い、それぞれの特徴などをわかりやすく解説します。
剥離剤とは?
剥離剤とは、金属やガラス、プラスチック樹脂などさまざまな物体に付着した塗料や接着剤、塗膜、メッキ、汚れなどを化学的に溶かしたり、軟かくさせて剥がす(剥離する)ための薬剤です。
剥離剤の種類
剥離剤は工業用と建築用に大別でき、さらに細かく、用途別に分かれています。

工業用剥離剤
工業用剥離剤は、瞬間接着剤用や床ワックス用、印刷レジスト用、塗装用剥離剤などに細かく分かれます。また、厳密には剥離剤とは異なるものですが、離型剤(金型や型から樹脂やゴム、食品などがスムーズに外れるようにする薬剤)も剥離剤と呼ぶことがあります。工業用剥離剤の代表的なものを解説します。
接着剤用剥離剤
接着剤は、溶剤や樹脂、添加剤などでできています。被着体の表面にある小さな穴や谷間に液状の接着剤が入り込み、溶剤成分が揮発して、樹脂が固まることで接着します。
接着剤用剥離剤は、固まった接着剤を溶かして剥がすための薬剤です。接着剤を溶かす成分が含まれているため、固まった接着剤を簡単に取り除くことができます。
主成分としては、アセトンやメチレンクロライド(ジクロロメタン)という有機溶剤が使われていることが多いです。アセトンやメチレンクロライドは接着剤を溶かす力(溶解力)が強い一方で、プラスチックやゴムなども溶かしてしまいます。
また、アセトンとメチレンクロライドは有害性が高く、アセトンは有機溶剤中毒予防規則(有機則)に、メチレンクロライドは有機則よりも厳しい特定化学物質障害予防規則(特化則)で規制されているため取り扱いには注意が必要です。
三協化学では、有機則や特化則に該当しない成分を使った瞬間接着剤の剥離剤を多数販売しております。詳しくは別記事「瞬間接着剤の剥がし方(はがし液)について」をご覧ください。
また、三協化学の製品で接着剤の剥離に適した製品を、接着剤の成分ごとに以下の通りまとめました。
| 接着剤の種類 | 概要 | 使用例 | 解説記事 |
| ウレタン系 |
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自動車や建築、軽包装材を中心にあらゆる分野で使用 | ウレタン樹脂の洗浄・除去についてわかりやすく解説します |
| シリコン系 |
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木材やガラス、靴底、床、壁などさまざまな分野 | シリコーンの洗浄・除去についてわかりやすく解説します |
| エポキシ系 |
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金属や木材、コンクリートなど | エポキシ樹脂の洗浄・除去についてわかりやすく解説します |
| アクリル系 |
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接着剤だけでなく、テープの粘着剤にも使われる | アクリル樹脂の洗浄・除去についてわかりやすく解説します |
床ワックス用剥離剤
床ワックスとは、床材の表面に塗り、床を傷や汚れから保護したり、つやを出したりするためのものです。天然や合成のロウを乳化した水性ワックスや、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などの合成樹脂を乳化した樹脂ワックス、水性ワックスと樹脂ワックスの中間の性質を持った半樹脂ワックスなどがあります。
床ワックスは、塗り重ねたり、塗ってから時間がたつと劣化して黒ずんだり、ツヤがなくなったり、部分的に剥がれたりします。古くなったワックスを剥がすために使うのが床ワックス用剥離剤です。
ワックスの種類に合わせた剥離剤が製造販売されており、間違った剥離剤を使うと、床そのものを傷つけてしまうことがあるため、必ずワックスの種類、床の材質に対応した剥離剤を使うようにしましょう。
レジスト用剥離剤
レジストとは、工業製品の製造過程で、対象のものに保護膜を作る技術で、主にプリント基板に使われています。プリント基板は銅箔をエッチングして回路パターンを作ります。しかし銅はそのままだと酸化しやすく耐久性が低下します。そのためレジストを塗布して銅箔を保護し、はんだが不必要に付着することを防ぎます。またレジストは汚れや湿気、熱などから基板を守る役割もあります。
回路を作ったあと、不要になったレジスト膜を除去する必要があり、その除去には薬剤を用いるウェットプロセスと、プラズマやオゾンなどのガスを用いるドライプロセスがあります。ウェットプロセスの薬剤がレジスト用剥離剤です。
塗料用剥離剤
塗料用剥離剤とは、車やさまざまな製品の塗料を剥がすための剥離剤です。塗装の種類、基材の種類によってさまざまなものがあります。それぞれに対応した剥離剤を使用しないと、塗装が剥がれなかったり、基材を傷つけたりする恐れがあるため、必ず対応した剥離剤を使いましょう。

そるぶ
三協化学のゾルカスシリーズは、エポキシやウレタン、アクリルなどの樹脂、塗料、インキ、接着剤、塗装、UV硬化樹脂の剥離、ワニスの剥離などができるゾルカスシリーズを製造販売しているよ!
離型剤
離型剤とは、金型や型から樹脂やゴム、食品などがスムーズに外れるようにする薬剤のことです。コンクリートでは潤滑油や有機溶剤、鋳造では乳化ワックスなど、ゴムやプラスチックではフッ素やシリコン樹脂などが離型剤として使われます。また、パンや菓子などでは植物油やバターなどが使われます。
離型剤も剥がしやすくするもののため、剥離剤と呼ぶことがあります。
建築用剥離剤
建築用剥離剤は、建築物外壁用と橋梁などの鋼構造物用に分かれます。
建築物の外壁や、橋梁、歩道橋、水管橋、鋼製水門などの鋼構造物の塗膜(塗料が乾いて硬化し、物体の表面にできる膜のこと)には、人体に有害なアスベストや鉛、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、クロムなどが含まれていることがあります。塗り替えのために剥離する際、通常のブラストやサンダーなどの剥離方法では作業者が有害物質を吸い込んでしまうため、剥離剤を刷毛やスプレーで塗膜に塗り、湿潤化させて安全に剥がします。
剥離剤を塗膜に塗ることで、剥離剤の成分が徐々に塗膜内部に浸透し、塗膜と素地の間の付着力を壊すことで、塗膜を剥がします。
使用方法により、刷毛塗りタイプとスプレータイプがあります。
また成分の違いにより、ジクロロメタン(塩化メチレン、メチレンクロライド)を主成分とする塩素系剥離剤や、ジクロロメタン非含有の環境対応型剥離剤などがあります。
塩素系剥離剤の主成分のジクロロメタンは、強い溶解性を持つ一方で、発がん性があるため特定化学物質障害予防規則(特化則)の特別有機溶剤や、土壌汚染対策法に指定されている物質です。取り扱う際は、換気設備の設置や防毒マスクの着用など厳重な措置が必要です。
実際にジクロロメタン含有の剥離剤による労働災害も起きています。
厚生労働省-職場のあんぜんサイト-労働災害事例-小学校で看板文字消し作業中、ジクロロメタン中毒となり入院
環境対応型剥離剤
環境対応型剥離剤には、消防法該当の溶剤系と消防法非該当の水溶液系(水系)があります。
溶剤系は溶解力に優れ水系剥離剤で除去できないものも剥離できる場合があります。また、引火点があり消防法による規制を受けます。水系剥離剤は引火点がなく、溶剤系剥離剤よりも安全性が高く作業環境面で優れていますが、溶解力は穏やかです。
| 剥離剤の種類 | 特徴 | |
| 塩素系剥離剤 |
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| 環境対応型剥離剤 | 溶剤系剥離剤 |
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| 水溶液系(水系)剥離剤 |
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三協化学では、ジクロロメタンを含まず、作業者の安全と周辺環境の保全に配慮した環境対応型の剥離剤、リペアソルブシーズを開発し、製造販売しております。
詳しくは「建築用・鋼構造物用塗膜剥離剤」をご覧ください。
塗膜剥離剤とは
塗膜剥離剤とは、塗料が乾いて固まることでできる膜を剥がすための剥離剤です。建築用剥離剤と塗料用の剥離剤はいずれも、塗膜剥離剤に分類されます。剥離剤を図でまとめると以下のようになります。

まとめ
三協化学が製造販売している剥離剤は以下の通りです。
| 用途 | 対応製品 |
| 工業用塗料の剥離 | |
| 樹脂・ゴム加工物の剥離 | |
| 接着剤の剥離 | |
| 建造物の外壁塗装の剥離 | |
| 鋼構造物塗膜の剥離 | |
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床ワックス、レジストの剥離 |
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剥離剤について疑問、質問がございましたら、下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。
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